あの頃は馬と鹿だったね
私とあなたはお互いに大きな傷をつけあい、でも傷を舐め合うことはしなかった。
舐められなかった傷は膿、深い傷跡を残してしまったね。
その跡に触れられるのはきっといつまでも私とあなた二人だけで、
でもその跡を新しい皮膚で隠し、守る事が出来るのは私とあなたじゃなかったの。
あの時の私とあなたは時が進めば進むほど、きっとお互いに心のどこかで離れ離れになることに気づいてしまった。だから必死でお互いに溺れあい、傷つけあってしまったんだ。
離れ離れになることに怯え傷ついたあなたの手をそっとほどいた私もまた離れ離れになることを怯え傷ついていた。
引きずってるんじゃないよ、引きずっていたらずっと傷の痛みを知っているから痛さなんて忘れてる。
前に進んだから、忘れかけた傷跡が痛むんだ。
夏はお互いに大好きな季節だったからね、
思い出すとほんのり胸が苦しくなる。
あの頃よりも私は今の方が幸せで、毎日笑って過ごしています。
臆病で優しいあなたもあの頃よりも少しでも幸せに過ごせているといいな。